新築から10年未満に住宅に不具合が生じた場合は、リフォーム瑕疵保険を利用して無償で修理できる可能性があります。
消費者を守る為に定められた制度ですので、仕組みをしっかりと把握しておくことが大切です。
このページでは、リフォーム瑕疵保険とは何か?メリット・デメリットや利用する時の流れなどについて説明いたします。
リフォーム瑕疵保険とは、リフォーム工事後に不具合や欠陥を見つかった場合、それにかかる補修費用を一部補償してくれる制度です。
新築の際は「瑕疵担保責任」が義務付けられていますが、リフォーム時の瑕疵保険に関しては任意となります。そのため、リフォーム瑕疵保険に対応しているかは業者によって異なります。
結論から言うと、屋根に関する部分としては屋根材のズレや浮き、ゆがみ、破損、排水不良などが起きている場合は、瑕疵保険の対象となる可能性があります。
リフォーム瑕疵保険の対象となる建物の部分と保険期間は、次の通りです。
対象となる部分 | 保険金が支払われるケース | 保険期間 |
---|---|---|
構造耐力上主要な部分 | 基本的な耐力性能を満たしていない | 5年 |
雨水の浸入を防止する部分 | 防水性能を満たしていない | 5年 |
上記2点以外の部分 | 社会通念上必要とされる性能を満たしていない | 1年 |
ここで挙げられる「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」とは、以下の場所を指します。
構造耐力上主要な部分 | 【木造(軸組工法)の場合】 屋根板、小屋組、柱、壁、横架材、床板、斜材、土台、基礎 |
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【鉄筋コンクリート造(壁式工法)の場合】 屋根板、壁、床板、基礎、基礎杭 |
|
雨水の浸入を防止する部分 | 【木造(軸組工法)の場合】 屋根、外壁、開口部 |
【鉄筋コンクリート造(壁式工法)の場合】 屋根、外壁、開口部、排水管 |
※排水管とは、屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分のこと
保険金の支払額を算出する際は、一般的に以下の計算式が用いられます。もし施工業者が倒産している場合は、補修費用の100%がお客様へ直接支払われます。
【保険金の支払額=(補修費用)-10万円)×80%】
また、保険金の支払額には上限が設けられており、100万円~1000万円の間で選択できます。詳細は加入している保険会社によって異なります。
リフォーム瑕疵保険のメリットは、以下の点が挙げられます。
リフォーム瑕疵保険に加入していれば、万が一施工会社が倒産していても、瑕疵部分に関しては直接、お客様から保険会社に補修費用を請求できます。
また、通常は施工会社が保険金を受け取る流れになっていますが、倒産している場合は、お客様が保険会社から保険金を受け取ることが可能です。
ただし、業者が倒産した場合に受け取れる保険金額は、免責金額10万円を引いた額になります。
リフォーム瑕疵保険を利用する際は、建築士の資格を持っている保険会社の検査員が工事の検査を行います。
適正に工事が行われているか第三者の立場で厳しくチェックするため、工事品質も向上し、お客様にとっても安心感があります。
リフォーム瑕疵保険を利用する場合、施工業者は事前に保険会社に登録しておく必要があります。そして、保険会社に登録する為には、保険会社が定めた条件をクリアしなければなりません。
保険会社による条件を満たしているということは、実績があり信頼性も高いと言えるため、優良業者を選ぶ上でひとつの判断材料となります。
リフォーム瑕疵保険のデメリットは、次の通りです。
リフォーム瑕疵保険を利用する場合は、保険料と検査料を支払う必要があります。
これらを誰が支払うのかという点について決まりはありませんが、基本的に業者側が負担するケースは少ないため、保険料・検査料はお客様側が支払うことになります。
また、料金は業者が加入している保険会社や行う工事内容、検査の回数など様々な要因によって変動してきますが、一般的には合計で3万円~7万円程が相場です。
前述の通り、リフォーム瑕疵保険を利用する際は保険会社よる検査を行うため、工期が長くなる可能性があります。
特に、屋根工事の場合は雨天時に検査を行えないので、検査の日程調整に難航したり、工期が伸びてしまうケースが多いです。
リフォーム瑕疵保険の保険期間には限りがあり、1~5年と短めです。
万が一に備えて保険を利用することは安心感にも繋がりますが、実際に5年以内に雨漏り等の不具合は発生する確率は低いため、保険期間の短さに関してはデメリットと言えるでしょう。
リフォーム瑕疵保険を利用する際の流れを説明いたします。
リフォーム瑕疵保険は全ての業者が登録しているわけではないため、瑕疵保険の利用を検討している方は対応している業者を選ぶようにしましょう。
また、あらかじめ業者に瑕疵保険を利用したい旨を伝えておくと、その後の手続きもスムーズに行えます。
保険会社への申し込み自体は業者側が行いますが、書類に記名・捺印するのはお客様なので、リフォーム瑕疵保険についてしっかりと説明を受けることが大切です。
また、保険料・検査料はお客様が負担するケースが多いので、費用についても事前に確認しておくようにしましょう。
防水シートの交換や雨水の浸入を防ぐ部分の工事などを行う場合は、工事中と工事終了後に検査が行われます。
防水リフォームを含まない工事であれば、工事終了後のみ検査は行います。屋根塗装だけの場合や屋根カバー工法(重ね葺き)の場合は、防水リフォーム工事を行わないので検査は終了後のみです。
保険会社による検査が完了した後は、保険証券が発行されます。保険証券が手元に無いと補償を受けられないため、届いていない場合や紛失した時は保険会社に問い合わせるようにしましょう。
リフォーム工事後に瑕疵を見つけた時は、速やかに施工業者に連絡をしましょう。対象となる事由で保険の期間内であれば、保険金を請求することができます。
この際、保険会社への連絡や保険金の請求・受け取りは業者が行います。ただし、業者が倒産している場合はお客様が直接、保険会社とやり取りすることになります。
現在、国土交通大臣が指定したリフォーム瑕疵保険を取り扱っている会社は、以下の5社です。
・株式会社住宅あんしん保証 https://www.j-anshin.co.jp/
・住宅保証機構株式会社 https://www.mamoris.jp/
・株式会社日本住宅保証検査機構(JIO) https://www.jio-kensa.co.jp/
・株式会社ハウスジーメン https://www.house-gmen.com/
・ハウスプラス住宅保証株式会社 https://www.houseplus.co.jp/
リフォーム瑕疵保険とは、工事終了後に瑕疵が見つかった際に補修費用を補償してくれる制度です。第三者による検査があり、万が一業者が倒産した場合でも保険が適用されるため、お客様にとっては安心感も大きいでしょう。
ただ、保険期間は1~5年と短めで、保険料・検査料はお客様が負担するケースが多いといったデメリットもあります。
また、リフォーム瑕疵保険は保険会社に登録している業者しか申し込みできないので、利用を検討している場合は、瑕疵保険に対応している業者を選定するようにしましょう。