パミールは、1996年(平成8年)~2008年(平成20年)まで製造された屋根材です。アスベストを含まない屋根材として人気もありましたが、さまざまな不具合が見つかっています。
このページでは、製造中止になったパミールの特徴と問題点、劣化症状やメンテナンス方法を解説しました。
見分け方や塗装できない理由もご紹介しているので、「うちの屋根はパミールかも」と不安な方は、ぜひ参考にしてみてください。
パミールは、外壁メーカーのニチハ株式会社が製造・販売していたストレート屋根材です。
それまでの屋根材にはアスベストが含まれていましたが、アスベストによる健康被害が発覚して以降、アスベストを含まない屋根材としてパミールは開発されました。
しかし、性能については十分に検証されないまま販売されたため、施工から数年で不具合が見つかり、クレームや訴訟といった大きな社会問題に発展しました。
パミールによく起こる不具合と劣化症状をご紹介します。
パミールは薄い屋根材で、何層も重ねて設置します。
施工した直後は見栄えも良いのですが、7年ほど過ぎるとミルフィーユ状に先端が剥がれていきます。そして、数年でボロボロの状態となり、少しずつ欠けてズレ落ちる現象が現れるようになります。
これは、パミールの粘着性や耐久性が低いことで引き起こされる不具合として有名です。
屋根材の先端が白っぽくなるのは、層状剥離の初期症状です。劣化が始まっている証拠で、これを放置するとあっという間に全体へ症状が広がります。
白っぽく見えるのは表面剥離が起こり、白い基材が表に出てきているからです。パミールは吸水性が高く、水分を含むと気温差によって凍結と融解を繰り返し、やがて基材が耐えられずに表面剥離を起こします。
パミールは、販売当初に専用の釘を無償で配布してしました。この釘の頭が腐食を起こし、錆びて消失することで屋根材のズレを生みます。
「ラスパート釘」と呼ばれるこの釘は、鉄に亜鉛メッキを施して化成被膜で覆い、焼き付けて塗装されています。ごくごく一般的な製品として、ホームセンターでも並べられているため、不具合の原因が釘であるかどうかは明らかになっていません。
ただ、釘の不具合についてはメーカーからの発表があり、「メッキ処理の薄い釘が混ざっていた」と公表しています。
パミールを使用しているかは図面や設計図、デザインで判断できます。
パミールのデザインは、屋根材の先端に5つの凸凹があり、その凸凹は均等な間隔で並んでいます。さらに薄い縦のラインもあるため、「我が家もパミールなのでは?」とご心配な方は、遠目から確認してみてください。
「自分ではわからない」「図面にストレート屋根としか記載されてない」といった時は、専門業者へ問い合わせて点検してもらいましょう。
パミールは層状剥離が起こるので、塗装をしても屋根材ごと剥がれてしまいます。そのため、どれだけ高性能な塗料を使用しても屋根の耐久性は増しません。
また、塗装前の高圧洗浄もできません。なぜなら、水圧によって屋根材がバラバラになる可能性が高いからです。
パミールのメンテナンス方法は「葺き替え」または「カバー工法」になります。
カバー工法とは、パミールはそのまま残して、上から新しい屋根材を被せる方法です。屋根材が二重になるので、断熱性や遮音性が向上するメリットがあります。
向いている人 | 向いていない人 |
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コストを抑えたい できるだけ早く工事を終わらせたい 普段の生活を邪魔されたくない |
屋根の劣化が激しい 雨漏りしている 既にカバー工法を行っている屋根 |
費用は屋根材の種類や面積にもよりますが、70~150万円です。既存の屋根は撤去せずに棟板金や貫板を外すだけなので、解体や廃材の処理費を安く抑えられます。
葺き替えはパミールを全て撤去してから、新しい屋根を設置する方法です。屋根材だけではなく、下地の木材や防水シートなども全て新しいものに交換することができるため、屋根全体の耐久性が向上するメリットがあります。
向いている人 | 向いていない人 |
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屋根を軽量化したい 屋根の寿命を延ばしたい 雨漏りしている |
費用を抑えたい できるだけ工期を短くしたい |
葺き替えにかかる費用は100~200万円が相場です。廃材の撤去、防水紙や下地材の新設などの費用がかかるのでカバー工法より高額になります。
パミールは、ニチハ株式会社が製造していた屋根材です。施工後に釘の腐食や先端が白っぽくなるなどの不具合が発生したため、現在は製造中止となっています。
層状剥離が起こるパミールは、塗装によるメンテナンスができません。パミールをメンテナンスする際は、カバー工法もしくは葺き替えを行います。
パミールなのか判断できない時やメンテナンスについてお困りの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。