古民家の屋根リフォームをすると建物の寿命を延ばせたり、耐震性が高まるメリットがあるだけではなく、シロアリやウイルスの発生を防ぎ、快適な暮らしを守るのにも役立ちます。
このページでは、古民家の屋根リフォームの相場や使う屋根材の種類はもちろん、お得にリフォームする方法もご紹介します。
古民家ならではの雰囲気や風格を保つためにリフォームしない選択をする方もいます。
しかし、耐用年数を大きく超えている場合やサビやコケが見られる屋根材をそのまま放置すると、雨漏りによってシロアリが繁殖したり、家財や家電が浸水して感電する危険性などもあるので注意が必要です。
安全で快適な暮らしを守る為にも、屋根材の種類別の耐用年数と、リフォームが必要になる劣化症状を確認しておきましょう。
屋根材の耐用年数を目安に古民家の屋根リフォームが必要な時期を判断できます。屋根材別の耐用年数は次の通りです。
屋根の種類 | 耐用年数(建築後の年数) |
---|---|
トタン屋根 | 10~20年 |
スレート屋根 | 20~25年 |
セメント瓦 | 30~40年 |
ガルバリウム鋼板 | 30~40年 |
粘土瓦(日本瓦・和瓦) | 50年以上 |
屋根材は設置から時間が経過するほど耐久性が低下するため、劣化が進行するとひび割れやサビが目立つようになります。ひび割れやサビなどは、雨漏りの原因にも繋がるため注意しなければなりません。
また、現存する古民家の多くは耐久性に優れた瓦屋根ですが、耐用年数を超えていないからといってリフォームする必要がないとは断言できません。
なぜなら、地域によって屋根材の耐久性が低下する原因となる日当たりや降水・降雪、自然災害の発生率が異なるからです。
屋根材の破損やサビを見つけたら、なるべく早めに修理を依頼しましょう。
古民家の屋根の状態を確認して、以下の症状があればリフォームを検討する必要があります。
・屋根材の破損やひび割れ
・屋根材のサビやカビ
・屋根材の色あせ
・コケの繁殖
これらの症状を放置していると美観が低下するだけではなく、屋根材の劣化を早めてしまい、最終的に雨漏りに発展する可能性が高くなります。
また、ご自身で屋根の状態を確認する方法は3通りあります。屋根に登るのは落下の危険性があるので、絶対にやめましょう。
・脚立を用いてチェックする
・近隣の高さのある建物から望遠鏡でのぞく
・ドローンを利用する
屋根や屋根材の劣化症状は、屋根に近づかないとわかりにくいため、症状の確認が難しい場合は専門業者に依頼しましょう。
古民家の屋根リフォームにかかる費用の相場を解説します。建物や屋根の状況、屋根材の種類などによって費用は変動します。
例えば、破損した粘土瓦(和瓦)の一部を修理する場合、1㎡あたりあたり9,000~12,000円が相場です。
屋根の大部分にサビや色あせがみられる場合は、耐震性や耐久性の低下による建物の倒壊リスクがあるため、部分修理ではなく屋根全体のリフォームをおすすめします。
30坪程度の古民家の場合、屋根リフォームの相場は60~200万円です。屋根全体に劣化がみられる場合は、屋根材すべてを新品にする葺き替え工法を行います。
古民家の屋根に使用される屋根材は、主に「日本瓦(和瓦)」「ガルバリウム鋼板」「化粧スレート」の3種類あります。
それぞれの特徴や利用時の注意点、耐用年数や料金を解説します。
特徴・メリット | ・耐用年数が長い ・基本的にはメンテナンス不要 |
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デメリット | ・初期費用が高い ・重量がある |
耐用年数 | 50年以上 |
施工単価(1㎡あたり) | 8,000~1,200円 |
日本瓦は、粘土を焼き上げて作られた瓦で、耐用年数の長く、基本的にはメンテナンスフリーで塗装も不要というメリットがあります。ただし、漆喰部分は10年前後を目安に修繕が必要となります。
初期費用は高めですが、古民家特有の風格を再現したい方から評価を得ています。
特徴・メリット | ・軽量で耐震性が高い ・防水性が高い |
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デメリット | ・定期的に塗装が必要 |
耐用年数 | 30~40年 |
施工単価(1㎡あたり) | 6,000~11,000円 |
ガルバリウム鋼板は、耐震性・防水性に優れた金属系の建築材料1つです。
金属系の中でも錆びにくい特徴がありますが、全く錆びないわけではないので、沿岸部や森林付近など環境によってはこまめなメンテナンスが必要となります。
特徴・メリット | ・軽量で耐震性が高い ・価格が安い |
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デメリット | ・割れやすい ・耐久性が低い |
耐用年数 | 20~25年 |
施工単価(1㎡あたり) | 4,500~8,000円 |
化粧スレートは、セメントを材料とした板状の屋根材です。コロニアルやカラーベストとも呼ばれています。
日本瓦やガルバリウム鋼板と比較すると低コストですが、自然災害や経年劣化によって割れるリスクが高いというデメリットがあります。
古民家の屋根リフォームは、建物の状態次第では200万円程度の費用が必要なケースもあります。少しでもリフォームコストを抑えたい方におすすめの2つの方法を紹介します。
ひび割れや目立った傷のない日本瓦を保管している場合は、リフォームの際に活用できます。業者に依頼する際に、手持ちの瓦を再利用したい旨を伝えて状態を確認してもらうといいでしょう。
自治体で行っている補助金・助成金を活用することで屋根リフォームの自己負担額を減らせる場合があります。補助額は制度によって異なりますが、以下が補助率・上限の目安となります。
補助金の種類 | 補助率 | 上限額 |
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省エネリフォーム | 10% | 50万円 |
アスベスト調査・除去 | 65% | 120万円 |
耐震リフォーム | 80% | 100万円 |
また、適用条件も制度によって変わりますが、主に以下の点がチェックされます。
・税金を滞納していない方
・暴力団との関りがない方
・居住する目的で活用する方
補助率や上限額は各自治体により異なるため、役所のホームページを確認、または電話でお問い合わせください。
2004年以前に建築された建物は、屋根材に肺がんの要因とされているアスベスト(石綿)を含んでいる可能性があります。そのため、安易にDIYするのは危険です。
また、屋根材の破損部分でケガをしたり、屋根から転落したりするリスクもあるため、安全性を第一に考え、専門業者へ依頼するようにしましょう。
古民家の屋根リフォームを行う際の費用や注意点は、次の通りです。
・古民家の屋根リフォームを実施するタイミングは、屋根材の耐用年数や状態から判断するのがよい
・古民家の屋根リフォームは200万円以上の費用がかかるケースもあるが、自治体の助成金や補助金を活用すればコストを削減できる
・古い屋根材にはアスベストが含まれている可能性がある他、破片で怪我をするリスクもあるため、古民家の屋根をDIYするのはおすすめできない
快適に過ごす為にも、なるべく早い段階で屋根リフォームを検討しましょう。古民家の屋根リフォームをお考えの方はお気軽にお問い合わせください。