屋根や外壁の劣化を気にされる方は多いかと思いますが、実は換気扇から雨漏りするケースも少なくありません。
雨漏りが発生すると、躯体の腐食やクロスのカビなど様々な被害に繋がるため、雨漏りの原因や対処法を知っておくことはとても大切です。
このページでは、換気扇から雨漏りする原因や換気扇の種類、修理方法などについて説明いたします。
換気扇から雨漏りした時に起こりうる被害として、次のようなケースが挙げられます。
雨水の浸水が建物全体に広がっていくと、柱や土台の腐食やシロアリ被害などに繋がり、建物の耐震性に大きな影響を及ぼします。
特に、シロアリが発生する原因の8割は雨漏りによるものと言われている程なので注意が必要です。
建物内部の腐食やシロアリの発生は普段の生活では気が付きにくいため、被害を発見した時にはすでに手遅れになっていることも多く、大がかりな修繕工事や高額な費用を要する場合もあります。
雨水が室内まで到達すると、クロスの剥がれや浮き、カビの発生などに発展してしまいます。
実際に、クロスを剥がしてみたら一面にカビが繁殖していたというケースもあり、知らぬ間に被害が拡大している可能性も考えられます。
内装の被害は美観の低下だけではなく、カビの発生によってシックハウス症候群や喘息を引き起こす危険性もあるため、十分に注意しなければなりません。
換気扇付近に家具・家電が置いてある場合は、それらにも被害が及んでしまいます。例えば、家具にシミやカビが発生したり、家電の故障などが挙げられます。
家具・家電は高価なものもあるので、交換費用も高額になってくるでしょう。さらにお気に入りの商品の場合は、精神的にもダメージが大きくなってしまいます。
また、家電の水濡れは漏電や火災に繋がる恐れもあるので、非常に危険です。
換気扇から雨漏りする原因として、次のようなケースが考えられます。
外壁に取り付けられている換気扇フードの周囲には、コーキング材が充填されています。コーキングの役割は、外壁とフードの隙間から雨水が浸入しないように防ぐことです。
しかし、コーキングは経年劣化によってひび割れや剥がれを起こすため、生じた隙間から雨水が内部に入り込んで、雨漏りに発展してしまいます。
台風や強風によって、換気扇の排気口から雨が吹き込んでくる場合があります。
特に、吹き込みを防ぐ為のシャッターが付いていなかったり、フードの形状が排気口を完全に覆っていないタイプは、吹き込みによる逆流が発生しやすくなります。
換気扇周辺の外壁にひび割れが発生していると、そこから雨水が浸入してダクトに伝わり、最終的に雨漏りに発展する可能性があります。
髪の毛程度の細さのひび割れであれば緊急性は低いですが、ひび割れの幅が大きかったり、広範囲に発生している場合は要注意です。
また、排気口周りにビスが打たれていたり、外壁が角型に切り抜かれているとひび割れしやすくなります。
外壁側の排気口には、雨が吹き込まないようにフードが設置されています。ただ、フード自体も経年劣化や飛来物の衝撃などで破損することがあり、やがて排気口に雨が浸入して雨漏りが発生してしまいます。
特に、排気口の内部に吹き込み防止のシャッターが付いていない場合は、フードで排気口を保護することが非常に重要となってくるので、フードの割れが見られる際は早めに交換しておくと安心です。
通常、換気扇から排気口を繋ぐダクトには、排気口から雨が入り込んだ時に備えて、雨水を外に排水できるように勾配が付いています。
しかし、古い建物や新築時の施工ミスにより勾配が不足しいると、雨水が正しく排水できずに、室内に流れ込んでしまうケースがあります。
換気扇の種類は「プロペラファン」と「シロッコファン」の2種類あります。
プロペラファンは一般的によく見られるタイプで、外壁に穴を開けてプロペラを設置し、外側に向かって排気する構造となっています。コストが低く、メンテナンスもしやすい特徴があり古くから用いられています。
ただ、空気を押し出す力が弱く、シャッターの性能も劣る傾向にあるため、雨風の浸入を防ぎきれずに雨漏りしてしまう可能性があります。
特に使用年数が経っており、モーターの力が弱まっているプロペラファンは、雨漏りするリスクが高いので注意が必要です。
シロッコファンは、円柱状に細い羽が縦に取り付けられているタイプで、外壁の外ではなくレンジフードの内部に設置されます。
空気を押し出す力が強く、排気口の大きさも小さいので雨漏りしにくいのが特徴です。ただし、ファンから離れた所に排気口があるため、万が一雨水が浸入した時に気が付きにくいというデメリットもあります。
換気扇やコーキングなどの劣化を放っておくと被害がさらに拡大し、修理費用も高額になっていきます。そのため、換気扇から雨漏りしているのを見つけた時は、早めに業者に修理を依頼し、適切な方法で対処することが重要です。
コーキングが劣化している場合は、コーキング補修を行います。
コーキング補修の方法には、既存のコーキングの上から新しいコーキング材を被せる「打ち増し」と、既存のコーキングを撤去してから新たにコーキングを充填する「打ち替え」の2通りあります。
どちらを選択するかは状況によって変わってきますが、雨漏りしている場合は打ち替えをするのが一般的です。もし打ち増しで補修したとしても、すぐにコーキングが割れてしまったり、雨漏りが再発する可能性があります。
外壁のひび割れが軽度の場合は、コーキングを充填してひび割れを埋める方法で補修します。ひび割れを補修した後は、補修部分が目立たないように既存の外壁の色に合わせて塗装します。
また、ひび割れが大きかったり、劣化が広範囲にわたっている場合は、コーキングによる補修だけでは対応できないため、外壁材の張り替えが必要になってくるケースもあります。
外壁に取り付けられているフードが破損している際は、フード自体の交換を行います。また、元からフードが付いてない住宅の場合は、新たに設置することも可能です。
形状や耐久性などは製品によって異なるため、業者と相談しながら決めるのがいいでしょう。既存のフードの種類によっては廃盤になっている製品もあるので、その場合は代替品を用いることになります。
また、台風の多い地域や換気扇の使用年数が経っている住宅は、換気扇本体を雨風が入り込みにくいタイプのものに交換するといった選択肢もあります。
換気扇から雨漏りする原因は、コーキングフードの劣化、強風による吹き込み、外壁の劣化、ダクトの勾配不足などです。
もし雨漏りを放置していると、建物の腐食やクロスの剥がれ、家財の水濡れといった様々な二次被害に繋がってしまい、費用面だけではなく精神面にも大きなダメージを及ぼします。
換気扇周辺の劣化が進行していたり、室内でカビ臭がする場合は、早めに専門業者に調査・修理を依頼するようにしましょう。