建物は365日、雨・風・日光にさらされています。毎日過酷な状況にあるため、劣化や破損から免れません。
ここでは、雨漏りの原因や雨漏りが発生しているサインについて説明していきます。「気にはなっていたのだけど…」と思われた方は、ぜひ早めの対処を心がけましょう。
雨漏りの原因として、まず思い浮かべるのが屋根ではないでしょうか。以下のように、屋根からの雨漏りにも様々なケースがあります。
屋根は建物の中で一番雨に当たる箇所です。屋根材の破損や割れ、浮きなどが起こっていると、雨水が破損部分からダイレクトに浸入してしまいます。
金属屋根やスレート屋根で雨漏りが発生している場合は、屋根の葺き替えやカバー工法といった屋根全体のリフォームをしたり、部分修理などの方法で解決できます。
瓦屋根の場合は、瓦1枚から交換が可能なので、破損している瓦のみ新しいものに取り替えます。
いずれにしても、雨水の浸入によって屋根内部の下地が腐っている状態であると考えられるため、下地の木材や防水シートなどの交換も必要になってきます。
棟板金とは、屋根の一番高い位置に取り付けられている金属製の板のことです。
棟板金は雨風の影響を非常に受けやすく、強風によるズレや剥がれ、板金を固定している釘の緩みなどが現れるようになります。そして、棟板金の剥がれや釘の緩みによって生じた隙間から、雨水が入り込んで雨漏りに発展します。
金属屋根やスレート屋根の棟板金が破損している場合は、棟を新しいものに付け替えたり、再度釘を打ち直して修理します。
瓦屋根の場合は、軽度であれば針金で留める方法で修理できますが、広範囲に及ぶ場合は、瓦を積み直した後に漆喰を塗り直す作業も必要となってきます。
瓦屋根には漆喰が施されており、漆喰は棟瓦の固定や瓦同士の隙間を埋めたり、瓦屋根の内部にある「葺き土」を保護する役割を持っています。
経年劣化によって漆喰が剥がれ落ちると、雨樋を詰まらせる原因になったり、漆喰に開いた穴から雨水が浸入して雨漏りを起こすことがあります。
軽度の場合は漆喰の詰め直しを行い、葺き土まで水が浸水している際は、漆喰を全て剥がし新たに漆喰を施工します。
雨樋には、屋根に降った雨を排水する役割があります。しかし、風で飛んできたゴミや落ち葉、鳥の巣などが原因で雨樋が詰まると、雨水が正しく排水できずに水が溢れることがあります。
また、劣化によりひびや割れを起こしている際も、破損箇所から雨が漏れ出し、その漏れた雨水が外壁を濡らして結果的に雨漏りに繋がってしまいます。
雨樋の詰まりは、ゴミや落ち葉を取り除くことで改善できますが、ひび割れや破損がみられる場合は、部分的な修理や雨樋全体の交換が必要になってきます。
天窓は屋根に穴を開けて設置されており、劣化するスピードもとても早いです。ですが、日常的に点検できる部分ではないため、劣化に気が付きにくい箇所でもあります。
天窓の周囲にはゴム製のパッキンが取りつけてあり、パッキンにひび割れや剥がれなどの不具合が生じると、室内に雨水が入ってきてしまいます。
劣化が軽度の場合はコーキングで破損部分を塞ぎ、天窓自体が寿命を迎えている際は全体を交換します。
外壁からの雨漏りする原因として、次のようなケースが挙げられます。外壁はご自身でも見ることができる部分なので、日頃から劣化状態をチェックしておくと良いでしょう。
外壁のひび割れは雨漏りに直結するため、注意が必要です。
外壁の内部には防水シートや木材が取り付けられており、実際に雨水が室内に達するまでに時間がかかります。そのため、知らぬ間に内部に湿気が溜まって、腐食やカビの繁殖が進行してしまう恐れがあります。
ひび割れが軽度の場合は、コーキングやセメントでひびを塞いで修理します。ひび割れが大きい場合は、外壁だけでなく防水シートや下地材の交換工事も行います。
コーキングとは、サイディングやALCなどの外壁の継ぎ目に施工されているゴム状の部材です。シーリングとも言います。
コーキングが劣化すると、ひび割れや痩せといった症状が現れるようになり、劣化によって生じた隙間から雨水が内部に浸入してしまいます。
軽度のものであればコーキングを打ち直すことで改善できますが、内部にまで雨水が浸透している場合は、内部の防水シートや下地材の交換が必要となります。
また、1階の外壁と2階の外壁の境目に設置される「幕板」と呼ばれる部材の内部にもコーキングは充填されており、外壁の調査で破損部が見当たらない場合は、幕板を外して点検することもあります。
窓サッシからの雨漏りする原因や修理方法は、次の通りです。
外壁と窓枠の間に埋められているコーキングは、長い年月をかけて雨風や太陽の影響を受けることにより劣化していきます。
そしてひび割れや痩せ、剥がれなどが発生すると、雨水が内部に入り込む原因となってしまいます。
ひび割れや破損が部分的であれば、既存のコーキングの上から重ねてコーキング打つ方法で修理します。状態が酷い場合は、既存のコーキングを全て剥がしてから、再度新しいコーキングを打ち直します。
窓サッシ周辺の外壁にひび割れが発生している場合、破損箇所から雨水が染み込んでいまう可能性があります。
外壁のひび割れが軽度の場合は、コーキングやセメントでひびを埋めて修理します。すでに内部にまで水が浸水している際は、外壁材を剥がして内部の防水シートも貼り変える必要があります。
ベランダや屋上から雨漏りする原因として、以下のパターンが考えられます。
ベランダや屋上の床面に施工されている防水層は、日頃から雨や太陽光による影響、人の歩行、地震などの衝撃を受けています。
そして、劣化が進行するとひび割れや剥がれ、防水効果の低下などを引き起こし、最終的には劣化によって生じた隙間から内部に雨水が染み込み、雨漏りに発展します。
劣化が軽度の場合は、トップコートと呼ばれる防水層を保護する役割を持つ塗料を、防水層の表面に塗装する方法でメンテナンスします。
ですが、雨漏りするほど劣化が激しく、亀裂ができていたり雑草が生えている場合は、防水層自体を新たにを作り直す必要があります。
ベランダの雨漏りで一番多い原因は、排水口の不具合です。
排水口は雨水が集まる場所なので劣化も早く、落ち葉や泥なども詰まりやすい環境です。また、内部のパイプにゴミや鳥の巣が詰まるケースもあります。
詰まったまま排水を受けると圧力で排水口が破損したり、排水できずに溜まった雨水によって防水層の劣化を早めてしまいます。
排水口が詰まっている場合は、ゴミや落ち葉などを取り除いたり、排水口の交換を行います。排水口の詰まりは日頃のお手入れで予防できますので、定期的に掃除するようにしましょう。
笠木とは、ベランダや屋上の手すりの上部を覆うように設置された部材のことです。笠木の浮きや釘の緩み、手すりのサビなどによって生じた隙間から雨水が浸入してしまいます。
笠木・手すりの劣化がみられる場合は、コーキング補修や笠木の交換、笠木の内部に取り付けられている防水シートの交換などを行います。
次のような症状が確認できる場合は、雨漏りしている可能性が高いので注意しましょう。
屋根材や壁材の下には、防水シートと下地材である木材が取り付けられており、通常はそれらによって雨水の浸入を阻止しています。
天井やクロスにシミができているということは、防水シートや下地材を通過し、長い時間をかけて浸水してきている可能性が考えられます。
シミが確認できる場合はすでに防水シートの劣化が進み、木材の腐食やカビが発生している可能性も高いので、早めの対処が必要となります。
クロスにカビが生えていると外壁からの雨漏りを疑いますが、外壁の他にも、屋根やサッシからの浸水によってカビが繁殖するケースもあります。
カビは建物への影響だけではなく、健康被害にも繋がります。アレルギーやシックハウス症候群などを発症させる危険性もあるため、カビを見つけた時は放置せずに、専門業者に調査してもらうことが重要です。
雨水が室内まで染み出してくることによって、クロスが剥がれたり、浮いてきてしまうケースがあります。
クロスの剥がれや浮きは、結露など外部からの湿気により起こる場合もあるので、雨漏りしていることに気が付きにくいかもしれません。
ただのクロスの剥がれだと判断し、自分で直そうと接着剤で貼り直したり、上から塗装するのは危険です。状況が悪化する前に、専門の業者に相談するようにしましょう。
室内でカビ臭がする場合は、知らないうちに壁の内部や天井裏など見えない場所から雨漏りが発生している可能性があります。
目に見えるものではないので確認するのは難しいですが、日頃の生活で少しでも異変を感じたら早めに対処することが大切です。
雨漏りは放っておくと、木材の腐食や耐震性の低下などに繋がり、最悪の場合は建物が倒壊する危険性もあります。
また、雨漏りは湿気を好むシロアリが住み着く原因にもなり、下地の木材だけでなく金属製の建材にまで影響が及ぶ恐れもあります。
雨漏りの原因や雨水の浸入経路を特定する為には、豊富な知識と経験が必要です。天井から水が滴っていても、実際は外壁に原因があったというケースも少なくありません。
対処が早ければ被害も最小限に済み、修理費用も抑えられるので、気になる点がある時は早めに経験豊富な専門業者に相談するようにしましょう。
雨漏りの原因と聞くと屋根をイメージするかと思いますが、建物は日頃から雨風や紫外線、地震による揺れといった様々な影響を受けているため、外壁やサッシ周り、ベランダなどから雨漏りする可能性もあります。
雨漏りは放っておくと被害が拡大し、修理費用も高額なってしまいます。カビ臭やクロスのシミなどが確認できる場合は、早めに専門業者へすることが大切です。